住の江

奄美黒糖焼酎の黎明期をかたる酒 住の江 500本限定発売

島の宝 黒糖焼酎 石原酒造のはじまり

一九五〇年代(昭和中期)、戦後まもなくの頃。
奄美大島の中央、山深く緑豊かな里・住用村すみようそん
住用川清流が流れ込むマングローブのそばに
石原省三しょうぞうと妻のタカが築いた石原酒造がありました。

故郷想いの省三は、戦後の村興しのため、
養蚕ようさんや農業など様々な事業に挑戦するも、
なかなか成功を収めることができません。
時には遠く離れた地での出稼ぎをしながら、
妻タカは省三の背中を支え続けます。
その結果、省三は、
「良質な水がある住用に最適な産業」として
黒糖焼酎造りにたどり着きました。

しかし、企業化の目前で突然、
省三は五十七歳という若さで帰らぬ人と
なってしまいます。

操業時の石原酒造 中央に石原タカ

住用川とマングローブ

黒糖焼酎『住の江』誕生

省三の突然の死。
途方に暮れたタカでしたが、
夫の遺志を継ぎ、女性の杜氏とうじとして
一人で酒造りを続けることを決意します。
毎日の作業は明け方から始まり、
タカにとって厳しいものでした。
そんな日々の努力は、少しずつ実を結びます。
直火蒸留法じかびじょうりゅうほう※で醸造された黒糖焼酎。
独特の味わいと香りを特徴とするタカの酒は、
東京でも高く評価されるようになっていきます。
※直火蒸留法
蒸留釜または蒸留器に原料を入れ、
原料に直接火を使って加熱する蒸留法。
原料の雑味を含んだ風味が強く出る。
現在の主流は間接蒸留法で、
蒸気の加熱によって揮発成分を抽出することで、
雑味が少なく優しい口当たりとなる。

直火蒸留器

石原タカの想い

彼女は、出来上がった酒に、
石原酒造の故郷「住用」の地名と、
歌人藤原敏行朝臣ふじわらのとしゆきあそんが詠んだ恋の和歌
「住の江の 岸に寄る波 夜さへや
夢の通ひ路 人目よくらむ」

(百人一首第十八番)から
すみ』と名付けました。
それはまるで、亡き夫、
省三への想いを込めたかのようでした。

発売当初の
『住の江』のラベル

甕貯蔵庫

刻(とき)のもたらした味わい

三十余年という歳月は、
『住の江』の荒々しさを削り取り、円く熟した、
しかし新鮮な味わいを形づくりました。

口に含むと拡がる、
サトウキビを思わせる青草のような香りは、
新鮮な印象を与えます。
大地を思わせる重厚な口当たりが舌を包み、
余韻は長く甘く、稀の酒と呼ぶにふさわしい、
何層にも重なる奥深き味わいです。

さとうきび畑

時代の転換 町田酒造へ 時代の転換 町田酒造へ

住用の地でタカが守り続けた石原酒造でしたが、
昭和の終わりには、彼女も八十歳を迎え、
後継者不在の問題に直面します。
この時、後継を申し出たのが、
町田酒造の創業者・町田實孝さねたかでした。

實孝は、受け継いだ酒蔵を現所在地である
龍郷町大勝たつごうちょうおおがちへ移し、近代的な設備と
大きな生産能力を備えた酒蔵へと
生まれ変わらせました。
その後、町田酒造による「さとあけぼの」ブランドは
急成長を遂げ、奄美大島のみならず、
全国の市場へと流通。
黒糖焼酎を全国へ広く知らせる存在となりました。

タカが最後に仕込んだ原酒
『住の江 三十六年貯蔵』。
三十六年の刻を超え、町田酒造が
その思いも受け継ぎ、その一献を
現代へと伝承します。

町田實孝

原点回帰。故郷を想う、ラベル。

『住の江』のラベルには、
奄美大島の伝統工芸のひとつである
「草木染め」を施した手き和紙が
使われています。
この伝統技法は「本場奄美大島紬ほんばあまみおおしまつむぎ」の
絹糸の染色にも用いられる
古くからの技術であり、
奄美の職人の手による作品が、
故郷への深い想いと共に、
古酒を彩ります。

島の伝統工芸と共作

「この焼酎にふさわしいラベルは…」
ふと浮かんだのは、島の自然から生まれる「草木染め」でした。

本ラベルの製作は、
島根の老舗和紙工房『石州せきしゅう和紙 久保田』より、
和紙の原料となる天然素材、
こうぞが奄美に届くところから始まります。
こうぞを染める染料には、
草木のシャリンバイ(赤色)、藍(青色)、
フクギ(黄色)を使用。
染色の職人が丁寧にそれぞれを染め上げます。
これらの草木は、島内の個人宅で剪定した枝や
間伐材を買い集めたものであり、
島の貴重な原料です。

シャリンバイのウッドチップで
赤色の染料を造る様子(金井工芸)

草木染めをした楮(こうぞ)

染料づくりから染色までの工程は、
当社と同じ龍郷町内にある『金井工芸』で
手作業で行われました。

こうして染め上がった三色のこうぞは島根に戻ります。

島根に戻ったこうぞを和紙の職人がいて
一枚ずつ丁寧にちぎったものが今回のラベルです。

手漉てすきによる和紙の模様は、
偶然が重なり形作られます。
一枚として同じものはなく、
唯一無二の表情の違いをお愉しみいただけます。

ラベルはのりが綺麗に剥がせる加工をしています。
ラベルを額装するなど、
観賞用としてもぜひお楽しみください。

『金井工芸』

一三〇〇年以上の歴史を持つ奄美大島の大島紬。
金井工芸は世界でも唯一の古代染色技法である泥染めで
大島紬の糸を染めてきた染色工房。

伝統の技を守りながらも、国内外のクリエイター、
デザイナーとチャレンジングな取り組みを行い、
数々の新しい表現を見出している。

『石州(せきしゅう)和紙 久保田』

島根県の西部、石見いわみ地方でかれる石州半紙せきしゅうばんし楮紙こうぞし)は、
地域で栽培された良質のこうぞを使用。
二〇〇九年(平成二十一年)と二〇一四年(平成二十六年)には、
ユネスコ(国連教育科学文化機関)の
「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に
石州半紙が記載された。
先人たちが追い求める、石見の風土を生かした和紙
石州半紙せきしゅうばんし
一三〇〇年の時を超え、伝統の技術と技法が
現在でも守り続けられている。

住の江 三十六年貯蔵

発売日:2024年3月1日
原材料:黒砂糖、米こうじ
アルコール分:37度
内容量:750ml
希望小売価格:15,000円(税別)

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